報告者:東京事務所 新石
8月20日から25日に約10年ぶりにスタディツアーを開催しました。思い返せば、2021年にオンライン・ツアーを行って以来、いつか対面で実現したいと思っていた念願の企画でした。
4泊5日のスケジュールで2日間はホーチミン、3日間はフエという日程です。旅行会社PITさんの協力を得て、観光地にもしっかり足を運ぶスタディツアーにすることができました。
本記事では、観光以外のスタディツアーの本丸だったBAJの活動現場訪問(直売所、事務所、支援農家、ラムモンクァン中学校など)のうち、とくに印象に残ったツアー内容「大人になったアジ子たち(※)との再会」をご紹介します。
※アジ子 ……BAJのマンスリーサポーター制度「輝け!アジアの子ども基金」で活動しているベトナムの子どもたちを「アジ子」と呼んでいます。
2000年代の環境教育活動は、現在のような小中学校に限定されていませんでした。むしろ、当時それらはサブ的な活動であり、本体は貧困地域の環境改善や小規模開発を子どもたちの能力をエンパワメントすることで実現していく事業でした。水上生活の子どもたちや城壁沿いの不法住居コミュニティの子どもたちと信頼関係を構築し、グループをつくって一緒に勉強し、地域に必要な水道パイプラインや市場の整備、資源ごみ回収、分別活動、植樹、街灯設置、遊具建設、堆肥づくり、稲作りなどを行ないました。まさに「輝け!アジアの子ども基金」(略してアジ子)の名にふさわしい、子どもたちの可能性を最大限に引き出した活動でした。
残念ながら、2010年代に入ると、良くも悪くも再開発の波が同地域にも押し寄せ、アジ子たちのコミュニティもバラバラにならざるを得ず、子どもたちが活躍する場所自体がなくなりました。そして私たちの環境教育活動の場は現地の小中学校へと移っていきました。
それでも、ときどきは元アジ子たちとの繋がりはあったのですが、JICA草の根事業が本格化する頃あたりから、お互いに連絡を取ることはほぼなくなりました。
今回、10年ぶりにアジ子サポーターの方たちが来られるタイミングで、かつて大活躍をしていた元アジ子の子どもたち(いまは大人)に会えないだろうかと思いました。いまや現地スタッフたちも直接は知らない活動になってしまいました。探偵のような真似事をしてもらい、みんなの消息を調べました。
すると、思った以上にすぐに状況が分かりました。なんとほとんどのメンバーがまだフエにいて仕事をしていました。そして、話を持ちかけたところ「ぜひ会いたい」と仰ってくれてスタディツアーで再会できることになりました。
当時の環境グループのリーダーをしてくれた元水上生活者のビア君、そして同じくリーダーとして活躍していたディエン君、他にも当時の子どもたちが時間をつくって8月22日午後にサポーターの方たちとの交流のために集まってくれました。
みんな、いまはもうすっかり素敵な大人になっていました。そして、当時の思い出をたくさん語ってくれました。なかでも、ディエン君(ディエンさんと呼んだ方がよいでしょうか)は、当時のBAJの活動経験から「教育が人の生き方にいかに重大な影響をあたえるか」を知ったと語り、現在は工務店の仕事をしながら、身につけた技術を若い青年たちにボランティアで教えていると話してくれました。「いつかじぶんの現場を見てほしいです」という誇らしげな彼の笑顔に胸が熱くなりました。
彼ら彼女らが経験してきたことは特別なものであり、いまの子どもたちにも学んでほしい、感じてほしいことがたくさんあります。今後、再会できたアジ子卒業生たちもまき込んで、いっしょにベトナムの環境教育活動を盛り上げていきたいと思いました。
あらためて、参加してくださった皆さま、アジ子を支えてくださっている皆さまに厚く御礼申し上げます。今回ツアーに参加してくださった方のエッセイをBAJ通信に掲載予定です。おたのしみに。
来年もツアー企画したいと考えています。ご関心のある方は参加をご検討くださると嬉しいです。
(13年前の子どもたちとちょっと若かった私)
●ベトナムの環境教育活動は、りそなアジア・オセアニア財団、経団連自然保護基金、輝けアジアの子ども基金 のご支援や皆さまからのご寄付によって行われています。
現在、BAJでは輝けアジアの子ども基金サポーターを募集中です。
年に一度、子どもたちから手紙や工作が届きます。オンライン授業参観も計画中!
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