報告者:フエ事務所 Dong
バイオガスダイジェスターという装置を知っていますか。
家畜の糞尿を溜めてメタンガスを発生させる装置です。
現在、直売所では、BAJが2014年から2019年にかけておこなった「フエ市零細農家向け農畜産業経営強化支援事業」で、バイオガスダイジェスターを設置した畜産農家からも豚肉を購入し販売しています。
これらの畜産農家は、15頭以上の豚を伝統的な自家繁殖で育てており、近隣に環境汚染を引き起こしていました。そこで、この環境汚染問題を解決するためにバイオガスダイジェスターが設置されました。
<設置当時の様子>
バイオガスダイジェスターの設置により、環境汚染の改善だけでなく、ガス使用による燃料費のコスト削減、栽培用有機肥料の生成、温室効果低減、労働時間短縮による副業からの収入増加、飼育頭数増加に伴う収入向上などのメリットが得られました。
<今も順調にガスが出ている家庭>
2019年末から2020年初めにかけて、フエ市では、アフリカ豚コレラが大規模に感染拡大し、養豚農家で育てられた豚のほとんどが病気になり処分されました。アフリカ豚コレラの蔓延は、BAJ支援事業を含め畜産農家に大きな損害をもたらしました。その上、この病気は、家畜とバイオガスダイジェスターの操作維持管理に問題を引き起こしました。
飼育する豚がいなくなっても、一度病気が出た養豚農家はすぐに豚を買って育てることを許されず、一部の養豚農家ではバイオガスダイジェスターの操作を中止せざるを得なくなり、養豚業をやめた養豚農家もあります。豚の排泄物(豚糞)がなくなると、バイオガスダイジェスターはガスを生成しなくなるため、稼働停止状態となります。また、長期間バイオガスダイジェスターを使用しなかった場合は、バイオガスダイジェスターの性能に影響を及ぼし、再度使用したい場合、修復に時間がかかります。
幸いなことに、BAJがバイオガスダイジェスター設置支援をした養豚農家の多くは、アフリカ豚コレラの流行による影響を大きく受けておらず、バイオガスダイジェスター装置は依然として非常にうまく機能しています。バイオガスタンクに損傷がある農家には連絡を取り、バイオガスタンクを修理し、すぐ再稼働できるよう、BAJは今後も支援していきます。
●本事業はJICA草の根技術協力事業(パートナー型)で2019年4月まで実施してきましたが、現在は皆さまからのご寄付によって運営しています。
現在、BAJでは「夏募金2020」へのご支援のお願いをしております。
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