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ラカイン州事業の現状とミャンマー事業の現在について

ブリッジ エーシア ジャパン事務局長 新石 正治

昨年11月半ばから始まるラカイン州での戦闘は収まる気配がありません。地上は少数民族武装グループ(アラカン軍)が支配地域を広げています。しかし、国軍側は変わらず封鎖をつづけ、市民の拘束も増えています。出口が見えません。

 

州内では物価急騰と物資不足がおこり、市民の生活と生命に深刻な影響が出ています。マウンドー市街地は比較的静かですが、近くのブティダウンでは戦闘が継続中で砲撃音がマウンドーまで聞こえてくるそうです。マウンドーからの避難を希望するスタッフも増えています。しかし移動手段がない状況です。ほとんどのスタッフは地元住民でもあるため事務所勤務を続けています。BAJマウンドー事務所では事務所敷地内に戦闘激化の知らせ直後から避難用の塹壕を掘りました。また、最近では国際機関からの依頼で倉庫や事務所の屋根にペンキで国旗やUNなどのマークを入れる作業を手伝っています。空爆される可能性を少しでも低くするためです。BAJ事務所や倉庫の屋根もすでに日本の国旗やBAJマークを描きました。

 

内戦激化により車両等機械類の整備事業、災害復旧事業、裁縫訓練を通じた女性の能力開発事業は停止しています。支援ニーズ即応事業については、内戦再開前から移動許可が出ない状況が続いていました。給水・衛生施設改善事業については限定的な実施にとどまりました。

 

電話もインターネットもつながりません。銀行も閉鎖されています。バングラディシュ経由のネット通信でかろうじてチャットできる程度でそれも安定していません。UNHCR事務所に衛星回線があるため、午後の時間に利用させてもらいながら、現地職員と連絡を取っています。先が見えないなかでも、現地スタッフたちと何が準備できるのか、議論を続けています。

 

一方、中央乾燥地域での水供給事業ですが、カウンターパートとの覚書が最終段階に来ています。私たちの希望としては4月から準備を整えて村落部での深井戸修繕の活動を開始できればと考えています。6郡10か村を対象に10本の深井戸を修繕し、井戸の長期維持管理のためのワークショップやトレーニングを実施する予定です。2017年に現地グループにハンドオーバーした事業を、あらためてフォローアップしていく事業です。活動のできる場所を足がかりに、次の展開につなげていきたいです。

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