報告者:マウンドー事務所 U Zin Min Htike
本事業の目的は、教育や訓練の機会に恵まれず脆弱な状態に置かれた女性が、生計手段を得ることで自律に向かえるよう支援をすること、および多様な民族が共に学ぶことで民族融和を促すことです。
8月にはじまった本年度の基礎課程を19人の女性たちが修了したので、訓練中の苦労や今後の目標などを異なる民族の二人に聞いてみました。
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私の家は8人家族ですが、今、姉一人だけの収入で生活しています。姉は市場の一角を借りた小さな店でスナックやパックジュースを売る小商売をしています。父は雇われ運転手でしたが最近病気で仕事ができなくなりました。母と私は、家事をしながら父や小学生の4人の弟の面倒を見ています。私はお金を稼いで家計を助ける方法を早く見つけなければと考えていました。そんな時、姉の店に来たBAJ職員が裁縫訓練コースのことを姉に話したのです。姉から参加者を募集していることを聞き、技術を身に着ければ裁縫仕事で家族を助けられるのではないかと考えました。でも、この先何か月も勉強だけして働かないわけにはいきません。やはり参加は無理かなと思いましたが、研修中は1日5,000チャット(約300円)の補助をもらえると知り、思い切って応募してみました。
基礎研修の初めの頃はすこし苦労しました。先生の話すラカイン語が最初は十分には理解できませんでしたが、ベンガル語も付け加えて説明してくれたので、しっかり確認できました。ラカイン人やヒンドゥーの人たちと一緒に学ぶことにも徐々に慣れました。訓練で一番気に入ったのはステッチです。基本的な17種類ステッチが刺せるようになり、使い分けや刺繍に応用できることなどを知りました。ブラウスや子供用のシャツ・ズボン、ロンジーとスカートなど、欲しかった服も自分で作る自信がつきました。
衛生やエイズ、マラリア、下痢、結核、栄養価などの健康知識は知らないことも多かったので、家庭で役立てられればうれしいです。来週からはじまる応用課程でもがんばって勉強したいと思います。
私は 6 人家族の長女です。両親は貧しい農民で、兄は土工人夫、2人の弟は学生です。家事や畑の手伝いをしている私は、少しでも家計を助けたくて仕事を探していました。裁縫の仕事には興味がありましたが、道具や材料に出費する余裕はなく、「技術を学びたい、上手になりたい」という思いはかなえられませんでした。
そんな時友人から、BAJの裁縫研修ではお金の心配はいらないと聞き、是非参加したいと思って応募しました。
研修期間中の昼間は一日中教室にいるので、私は毎朝これまでより早く起きて、家族みんなの昼食と自分の弁当を作ります。夕食を作るのも私なので、帰宅後は急いで支度をしています。幸いBAJが通学用に乗り合いトラックを運行してくれるので、苦労なく帰宅できて助かっています。
最初は初めて聞くたくさんの裁縫用語に戸惑いましたが、先生が繰り返し説明してくれたおかげで、一つ一つ覚えていくことができ、技術を深く理解できたと思います。基礎課程で習ったことで、一番気に入ったのはブラウスの縫製です。素敵なブラウスを自分で作れるようになり、とても楽しい気分になりました。いろいろな作品を題材にすることで、自分の技術が一歩一歩向上していると信じています。
それから、もともとムスリムやヒンドゥーの人たちに知り合いはいなかったのですが、一緒の教室で過ごすことで友人にもなれました。
応用課程にも続けて参加して、卒業後は家計を助けるために自宅に小さな裁縫店を開けるように挑戦したいと考えています。
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Ma Har Li Marさん(左)には、コースを運営担当するU Zin Min Htikeから、Ma Moe Sann Nweさん(右)には、インフラ部門の上級職員U Than Myintからそれぞれ基礎課程修了証が授与されました。
記念撮影の後には、講師のDaw Aye Aye Myintを囲んで談笑が続きました。正味45日間の研修で基礎的な技術と知識が身につき、応用課程では実践力を養います。
19人の参加者は、扇風機の回る快適できれいな教室で、女性同士楽しく勉強を進めてきました。10月からの応用課程は1月中旬までの約3か月。彼女たち二人はとても頑張り屋さんなので、優秀な成績で修了し技術をそれぞれの将来に生かしていってくれるでしょう。
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(翻訳・加筆・修正 大野勝弘)
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