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“2022年度”裁縫訓練コースが終了:ミャンマー

“2022年度”裁縫訓練コースが終了:ミャンマー

報告者:マウンドー事務所 U Zin Min Htike

ラカイン州の貧困率は高く、貧困家庭においては女性が就学や進学を断念する傾向があります。また共学が不適切だとして小学校のうちに退学させられるムスリム女性もいます。本事業の目的は、教育や訓練の機会に恵まれず脆弱な状態に置かれた女性が、生計手段を得ることで自立に向かえるよう支援をすること、および多様な民族が共に学ぶことで民族融和を促すことです。


2022年11月までの計画で6月に始まったコースが、年を越してようやくこの6月に完了しました。U Zin Min Htikeが報告します。


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1998年以来マウンドー事務所は、地元の女性が研修を通じて能力が開発されること、および異なる人々の間に平和な環境を作り出すことを目的として裁縫訓練事業をおこなってきました。しかしながら、2017年に大きな民族間の紛争が発生したため、この事業を中断しました。

 

5年ぶりの再開、一時閉講、そして変則実施

2022年、地域の治安が落ちつきつつあると判断し、20人の訓練生(仏教ラカイン族10人、ヒンドゥ教徒とイスラム教徒を10人)を集め、6月に裁縫訓練を再開しました。コースは、6月から8月9日までの実施日45日間の基礎課程と、8月15日から11月8日までの、同60日間の応用課程でした。しかしながら、9月に入り国軍と民族組織の間の戦闘で情勢が不安定化し、州当局の指示にしたがい9月19日で応用課程を一時閉講しました。この際私たちは、何とか継続しようとしましたが、“人が集まる”活動に懸念を持つ当局からは認められませんでした。

閉講期間が長引くにつれ、訓練生からの再開要望は強くなりました。次善の策として11月から各訓練生の自宅にミシンを置き、BAJの講師が“目立たないように”巡回して訓練する「訪問型」で活動をはじめました。しかしながら、型紙や布を広げる広さがなかったり、説明や指導に時間のかかる技能は教えられなかったりといった難点がありました。さらに訓練生同士の学びあいの機会もなく、参加者の意欲は徐々に下がっていきました。

 

何とか全課程修了へ

2023年3月に郡長官と非公式会議を持つことができ、集合研修に対する訓練生らの強い再開要望と、席を並べることで得られる訓練効果、貧困女性の民生向上と地元経済への貢献などを訴え、理解を得ることができました。今年5月に再集合した訓練生は15人。開始から1年経ってしまったことで家庭事情が変わったり、結婚や進学したことにより、人数は減りましたが昨年9月に分かれた仲間たちが集まって教室を再開できました。

応用課程は残り35日間。前合わせブラウス、合わせ布スカート、ショルダー・ブラウスの、採寸、計算、型紙描画、生地裁断、縫製などを課題に合わせて学び、自分用の衣服をそれぞれが製作しました。2022年の開講から1年以上かかりましたが、全課程を終えられました。

クラス最終日の記念撮影。作品の「サイド・ボタン・ブラウス」と「ロンジー」姿で。
「襟ぐりの広いブラウス」と「立体的に製作したロンジー 」に着替えて、もう一度記念撮影

ついに迎えた修了式

6月22日に、基礎課程および応用課程を締めくくる修了式を、マウンドー事務所各部門長も参列しおこないました。自分で作った真新しい服を着た訓練生15名一人ひとりに、研修修了証と、ミシンおよび裁縫道具箱を授与しました。また二人の訓練生の代表謝辞では、「技術習得の機会を通じて生計と生活改善への希望を持たせてくれた」との思いが述べられました。

修了生代表の一人Ma Khin Myint Ye(19歳)の謝辞。


講師のDaw Aye Aye Myintが祝辞を述べました。彼女自身このコースの1999年の修了生です。
修了証を一人ひとりに授与しました(贈呈者はインフラ部門長のU Than Myint)。
ミシンなどの譲与。寄贈物資は訓練事業があるからこそ生かされます(マウンドー事業調整官のU Ye Aungから)。

修了式の記念撮影。ラカイン、ムスリム、ヒンドゥの級友全員が集うのは
これが最後かもしれません(両端は講師の二人、最後列はBAJ各部門長ら)。


訓練参加前には、ともすれば家庭や社会で従属的な立場に置かれがちだった彼女たちが、技術と道具を活用して、自信をもって自分の可能性を切り開いていくことを願っています。

(翻訳・加筆・修正 大野勝弘)



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