報告者:マウンドー事務所 U Man Hone
マウンドー事務所の主任整備士U Man Honeから「車両等機械類の整備事業」の現況報告が届きました。UNHCRをはじめ、現地の国際機関や公益機関から持ち込まれる車両やモーターボート、発電機などを整備・修理する本事業は、総合的な地域開発に不可欠な活動です。BAJワークショップ(修理工場)長の彼は、チン州出身の43歳。BAJシトウェ技術訓練学校を2001年に優秀な成績で修了し入職したベテラン職員です。
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UNHCRなどの国連機関やNGOの輸送機器類は、シビアコンディションで酷使されており、定期整備に加えしばしば修理が必要になりますが、高い技術が必要であったり部品の入手が困難であったりするため、現地業者では対応が難しいものが多数あります。そのため各団体の車両、モーターボート、そして発電機などの整備と修理を、BAJはマウンドーで30年近く引き受け続けています。整備士7人に溶接士2人が加わっての大掛かりな修理もおこないます。また、出先で故障した車両や転落車両の救援や輸送など、機材と特異技能をもつ職員を擁するBAJならでの対応もしています。
今回は、2月から3月にかけておこなった救急車の大規模修理を報告します。
僻地であるラカイン州北部には、郡都に2台しか自治体の救急車がなく、地域の社会組織であるWestern Door Rescue Association, Buthidaung(WDAB)が3台の救急車を運用して村をカバーしています。非舗装の悪路を四六時中走り回る車両は故障が頻繁な上、短期間で劣化してしまいます。
2月に大規模修理を依頼された救急車は、車体に傷やへこみが多数あり、塗装は剥げ落ち、ミラーや外装品も破損・欠損しているうえ、床パネルもサビで腐りきっており、運用するのが危険なほど“ボロボロ”でした。そこでまずは床の損傷部位を切断除去し、材料から切り出して成型した鋼板を溶接して床パネルをほぼ修復しました。外装の傷やへこみはパテで丁寧に修復し、全体の下地づくり、ベースコート、クリア塗装と進め、赤と白で救急車カラーに仕上げました。さらに、ひび割れたうえ枠のシールが劣化し車内に浸水していたフロントガラスは、新品に交換し接着防水を施しました。サスペンションやタイヤなど足回りも交換し、エンジンと電装系も一通り整備。新車並みとまではいきませんが、安全に走行できるピカピカの救急車として4月の始めにWDABに納車しました。
UNHCRの機器については、定期的なメンテナンスをし緊急要請にも即応しているため、8台の車両、ブティダウン5そうとシトウェ4そうのモーターボート、6台の大小の発電機は順調に稼働しています。 一方で、他の機関の機器については電子制御系の不具合解消に苦労しています。機器のコンピューター化が近年進んでいるため、整備士の技術向上をはかっていますが、日々の作業量が多いため思うように進捗しません。時間を取って整備士何人かを、ヤンゴンの専門業者で研修させるべく計画中です。
●本事業は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)資金および皆さまからのご支援により実施しています。
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