報告者:シトウェ事務所 神永
BAJは、ラカイン州北部にて、小規模インフラの整備を通じて、バングラデシュへ流出した避難民の帰還・再定住の促進を目指す「支援ニーズ即応事業」(Quick Impact Project)を実施しています。今年4月の事業開始後、同地域マウンドー郡とブティドン郡のコミュニティを対象として、学校校舎の修繕や貯水地の改修、排水設備の整備等、生活環境の改善を目的としたインフラの整備を進めてきました。
6月から10月にわたり、連日、バケツをひっくり返したような雨が続く雨季のラカイン州。道路が泥濘となり、移動すらも困難な雨季の作業を経て、予定している13のインフラ整備のうち、9月末時点で6事業を完了しました。
雨季前より、優先的に作業を進めた貯水池の整備は、5村中4村で作業が完了し、現在は、村の住民が日々の生活に水を利用しています。
上の写真は、ブティドン郡の村の貯水池の様子です。池に沈殿していたゴミ等も取り除いたことで、水もだいぶきれいになりました。完成した貯水池には、家畜の侵入を防ぐため、柵を設けています。
下は事業前の池の写真です。水が濁っていて、柵もないため、家畜が侵入し、水が汚染される危険がありました。
排水設備の整備は、マウンドー郡の2村で作業を完了しました。
整備した排水路
事業開始以前は、大量の雨水を受け止める排水溝がなく、雨が降った際に、ゴミや家畜の糞が混ざった雨水が民家に流れ込んでいました。視察した時期は、雨季の終盤にあたり、降水量も雨季本番と比べると少なかったものの、排水路を整備したことで、大量の水が近くの小川まで運ばれるようになりました。側溝の整備されていない近くの場所では、雨が降り始め10分程度で周辺が水浸しになっています。
排水路が未整備の場所
上記で紹介した事業以外に、現在、学校校舎の修繕を中心に残りの作業を進めています。
今後は、ドナーであるUNHCR(国連高等弁務官事務所)と合同で、本事業が住民の生活環境の改善にどのような影響を与えたかを調査する予定です。村人の声、事業実施後の生活環境の状況についても、今後、お伝えできればと思います。
●本事業は、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の資金で実施しています。
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