報告者:マウンドー事務所 今村
メディアでも大きく報道されていますが、現在ラカイン州北部(主にマウンドー郡とブティドン郡)では、8月25日以降治安状況が不安定となっています。
BAJマウンドー事務所は、8月時点でラカイン州北部の3郡(マウンドー、ブティドン、ラティドン)で以下の4つの事業を実施していました。
① 学校建設事業
② 学校修繕事業(サイクロンモラ支援)
③ 平和的共存事業(技術訓練)
④ ワークショップ事業(UNHCR及び国際NGOの車輛・ボート整備)
各事業の現状をお知らせします。
① 学校建設事業
日本財団資金で実施中の事業です。5年次事業(2016年9月~2017年8月)では、マウンドー事務所では6校舎を担当(他はシトウェ事務所で建設)。
8月25日時点で既に5校舎が完成しており、ラティドン郡で建設中だった残り1校も無事8月末までに建設が完了しました。
ラティドン郡Ba Ta Lay学校
そして、6年次事業(2017年9月~2018年8月)が開始しました。シトウェ事務所、タンゴップ事務所と合わせて合計16校舎を建設予定です。
マウンドー事務所では、うち3校舎を担当し、マウンドー、ブティドン、ラティドンでそれぞれ1校ずつ建設予定です。
ラティドン郡での建設予定地の治安状況は特に問題なく、先日村でのキックオフミーティングを実施しました。近日中に建設工事を始めます。
マウンドー郡とブティドン郡での建設は、12月末まで状況を見極め建設の可否を決定する予定です。
ティドン郡Kyauk Tan学校でのキックオフミーティング
ラティドン郡Kyauk Tan学校の児童・生徒
マウンドー事務所ではラティドン郡で学校建設事業が実施できており、マウンドー郡とブティドン郡を除くラカイン州内のその他の地域でも、BAJシトウェ事務所とBAJタンゴップ事務所が特に問題なく学校建設を進めています。
② 学校修繕事業
サイクロンモラ(詳しくは、こちら)により被害を受けた学校校舎の修繕事業です。日本財団資金と一般の方からのご寄付で実施しました。
7月末から開始し、6学校の全7校舎を修繕、主に屋根の修理を実施しました。運よく8月24日に全ての修繕作業を終えており、治安悪化の影響を受けることなく本活動は終了しました。
修繕が終わったいくつかの学校校舎は、武力紛争から避難した人たちが一時滞在していました。
修繕の前後(マウンドー郡Chein Hlar Li学校)
③ 平和的共存事業
UNHCR資金により、8月25日の時点で、9研修(裁縫訓練5、コンピューター研修3、機械研修1)を実施中でした。残念ながら未だ再開できる状況ではなく、活動を停止したままです。
④ ワークショップ事業
間接支援としてUNHCRと国際NGO等の車輛・発電機・ボート等を修理・メンテナンスする事業です。こちらは、いつも通りの修理活動はできていませんが、小規模で最低限のメンテナンスをしています。
ちなみに、マウンドー事務所は約60名のローカルスタッフを抱えており、他民族・他宗教で構成されています。60名のうち6割がラカイン族、3割がムスリム、残り1割がビルマ族とその他民族です。
このような状況になり、スタッフ間で他民族・他宗教に対するネガティブな思いが増長されていないか心配していましたが、杞憂でした。
彼らはこの状況でも、何に問題があるのかをきちんと理解しており、頼もしくあり誇らしく感じました。BAJがマウンドーで20年以上活動をしてきた一つの成果であると思います。
基本的にミャンマーは治安の良い国ですが、BAJの活動場所には、マウンドーのように近年治安状況が悪化してきている地域が含まれています。
BAJでは、私のような日本人駐在員や、ミャンマー人のスタッフが安全対策の研修を受講する機会をもうけています。
また、今後は、各事務所の緊急対策案を改善・作成していく予定です。
先日タイで受講したUNHCR/eCentre研修の様子(中央奥が今村)
●ラカイン州マウンドー事務所での活動は、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)、日本財団、および皆さまからのご支援で行っています。