報告者:ヤンゴン事務所 塩野目
本日は、BAJミャンマーが3年間にわたって実施してきた防災事業についてご紹介します。
2014年~2016年まで、BAJはエーヤワディーデルタで日本政府のODA無償事業である沿岸部防災機能強化のためのマングローブ植林計画の中のソフトコンポーネントとして、防災活動を実施しました。
対象の村はエーヤワディーデルタ・ボガレー郡の3村です。ミャンマーは、サイクロンや洪水、地震など災害リスクが高い国の1つです。その中でもエーヤワディーデルタはミャンマー史上最悪の災害といわれる2008年のサイクロンナルギスを始め、これまで多くの災害を経験してきました。
本事業では、3年間で延べ500人以上の住民が災害に関する講義と避難訓練による研修を受講しました。
「子ども研修」と「住民研修」の2つのカリキュラムを策定し、毎年10~11月に3日間ずつ村の小学校で行われました。写真は大人を対象とする「住民研修」の様子です。
参加者には研修の事前・事後にテストを実施して理解度を図ります。研修後はどの村でも災害リスクに関する理解度が大きく上がりました。
「子ども研修」の対象は小学校3~4年生ですが、中には読み書きが困難な子どもも含まれていたため、イラストや写真を多用してゆっくり授業をすすめていきます。
また、ゲームやグループワークを多く取り入れ、子どもたちが楽しく学べるよう工夫しています。この写真は、自宅から避難所までの経路を示すハザードマップ作成の様子です。
緊急時に適切な避難行動が取れることを目的に、研修の最後には日本式の避難訓練を行っています。
下の写真は対象となった村の小学校の1つです。災害時は村人の避難所となりますが、吹きさらしの状況下にあり、雨季の風雨やサイクロンによる被害を受け、良好な教育環境も損なわれています。
こうした状況から、研修後はどの村でも学校のまわりの防風林造成が議論されました。そしてBAJは、3村中もっとも関心の高かった1村を支援対象に、今年、防風林の植林プロジェクトを実施することになりました。
防風林を造成することで、暴風雨を緩和し、校舎の劣化・損傷を最小化することができます。また、村の避難所となる校舎の安全性を高めることができます。
対象となった3村では、研修の最後に防災委員会が再結成され、メンバーの役割や今後の防災計画が話し合われました。今後は彼らが中心となり、災害から村を守る取り組みが継続されることが期待されています。
●この活動は、国際航業株式会社、皆様のご支援で実施しました。
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